アンナプルナ内院トレッキング(2010年4月~5月)
谷口朗
2008年5月ロールワリン・ラムドン登山を終えてポカラに数日遊んだ時、「アンナプルナ内院ならクローネの皆さんにも丁度手頃ではないか?」との阪本公一会員の一言から今回の計画は始まった。
クローネ(林学出身者)の有志と毎月藪山中心の山歩きをして10年ちかくになるが、このメンバーでの海外山行は2004年のキナバル山(4,095m)のみで、一度はヒマラヤを見てみたいという願望は強いものがあった。2008年12月の月例登山の時、アンナプルナ内院トレッキングを提案、その後一年半の準備期間を経て今回のネパール行きが実現した。
全員が70歳を越え平均年齢72歳弱というメンバー構成を考え、計画的なトレーニングを実施、トレッキングに際しては、毎日の行程を短くかつ日程に余裕を持たせること、ポーターを当初の予定より一名増やすこと、緊急時のヘリ事前手配や衛星携帯電話持参等とくに高度障害対策に万全を期した。
また、事前の健康診断と医師の了承を条件付けたが、掛り付け医師では判定出来ないメンバーに関しては斎藤惇生先生に検診のデータをチェック願いご意見を頂いた。阪本会員には、2000年秋の記録と今までの経験から全てに亘り懇切丁寧なアドバイスを受けた。斎藤先生共々感謝致したい。
メンバー:
谷口 朗(L)(AACK 71歳)
福本昌弘(AACK 71歳)
迫間敏昭(クローネ/雲南懇 73歳)
喜多山繁(クローネ/雲南懇 70歳)
小山修夫(クローネ/雲南懇 73歳)
現地スタッフ:ガイド1名、ポーター4名
4月18日(日)~ 22日(木): 成田―Kathmandu―Pokhara
成田からキャセイにて、香港経由その日の22時過ぎKathmandu着。この時間帯に着く便は比較的少なく、市内も涼しくて快適であった。また今回は現地空港でのビザ・フォームを予めPCから取り必要事項を記入済みであったのでスムーズにビザを取得できた。エージェントのSeagull Travelとは、日本の海外保険(共済)のコピーを基にヘリの先行手配に関する再確認等を行った。
ガイドはこちらから要望しておいた昨年のランタン・ヘランブーのAmsang Sherpaと、ポーターの一人は同じく料理上手なBiru Sherpaをつけてくれることになった。
今回カトマンドウーポカラ間の交通手段は、往復とも保留にしておき現場で小型のバス(15座席程度)をドアー・ツウ・ドアーでチャターした。予期せぬバンダ(ゼネスト)の影響もあり、予定変更を余儀なくされたが、バス・チャーターはこれに柔軟に対処することが出来また最も経済的であった。
4月23日(金)~ 5月1日(土) Pokhara-Annapurna Base Camp
マオイストによる突然のバンダ(ゼネスト)の為、Phediまでの車が使えずポカラのレークサイドの宿から徒歩で出発することになった。いつもは大混雑の大通りは車一つない歩行者天国となり、いつかはポカラから歩いてみたいと思っていた夢が実現できたのは嬉しいハプニングであった。ルートは、湖畔に沿いKhapaudiの村から北上し、Sarangkot直下の巻き道をNaudandaまで。翌日Dhampusで予定のルートに戻った。
1964年京大山岳部隊が初登頂したアンナプルナ南峰(ガネッシュ)が、Chomrongまで来て眼前に聳え、ここからは当時と同じルートをベースキャンプまで行くことになる。
午後には必ず夕立がくる天候と変わってきたので、今回の最高地点Annapurna Base Camp(ABC)へは、下のMachhapuchhre Base Camp(MBC)からの往復とした。日の出後の数時間は雲一つなく、アンナプルナ南峰から1峰、テントピーク、3峰、マチャプチャレまでの大パノラマを全員体調も良く余裕を持って楽しむことが出来た。
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歩行者天国?(Pokhara 4/23)
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自然の妙—仏像(Deurali 4/29)
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ABC手前からアンナプルナI(ABC 5/1)
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アンナプルナ南峰(ABC 5/1)
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チマール背景に(Bagar)
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4月23日 Pokhara ~ Naudanda(1,430m)
24日 Naudanda ~ Dhampus(1,650m)
25日 Dhampus ~ Landruk(1,565m)
26日 Landruk ~ Jinudanda (1,780m)
27日 Jinudanda ~ Chomrong ~ Sinuwa(2,360m)
28日 Sinuwa ~ Dobhan(2,600m)
29日 Dobhan ~ Deurali(3,200m)。 (Bagar 3,300mまで往復)
30日 Deurali ~ Machhapuchhre Base Camp(3,700m)。(3,900m地点まで往復)
5月 1日 Machhapuchhre Base Camp ~ Annapurana Base Camp 往復
*1 ABC往復を除き、毎日朝食6時半とし宿泊地には13時以前に到着するようにした。
17時からロキシータイム、ただし標高3,000m以上では完全禁酒。
*2 ABC往復日は、3時50分発11時30分MBCに帰着。
*3 Jinuの温泉は、Modi Kholaの川床にあり露天。透明で湯量は豊富、素晴らしい。
5月2日~5月8日:Machhapuchhre Base Camp-Ghorepani
今回の最高地点であるABC到達が無事終わり日程的にも余裕が出てきたので、予定を少し変更しグルン族の大きな村落Ghandrukに立ち寄ることとした。また一旦収まっていたバンダが再燃しており長期化するとの情報を得たので最悪歩いてでもPokharaに帰れるよう、GhorepaniからNayapul方面に下りることとした。
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アンナプルナ南峰南壁(ガネッシュ)とヒウンチュリ(Chomrong 5/3)
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マチャプチャレ(Chomrong 5/3)
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GhandrukからのガンガプルナとアンナプルナIII
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ミヤマイラクサのスープ(Ghandruk 5/5)
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グルンのダルバートと濁り酒(Ghandruk 5/5福本撮影)
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ワラビ大収穫(Tadapani 5/7)
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ネマガリ筍(Ghorepani 5/8)
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5月 2日 Machhapuchhre Base Camp ~Dobhan(2,600m)
3日 Dobhan ~ Chomrong(2,170m)
4日 Chomrong ~ Ghandruk(1,940m)
5日 Ghandruk
6日 Ghandruk
7日 Ghandruk ~ Tadapani (2,630m)
8日 Tadapani ~ Ghorepani (2,860m)
*1 GhandrukからABCでは見えなかったガンガプルナが見えた。
*2 今回は名料理人のBiruがいるのでコゴミ、ワラビ、ミヤマイラクサ、根曲がりタケノコ等がふんだんにロキシーの肴として供された。
*3 Tadapani-Ghorepani間は特に石楠花(ラリーグラス)が密生しており大木の純林は見事。
5月9日(日)~12日: Ghorepani (Poon-Hill)-Pokhara
後半の目玉であるPoon Hillには4時出発。ここでもDhaulagiri、Tukuche Peak、Nilgiri 、Annapuruna連峰からMachhapuchhreまで360度の見事な景色を満喫できた。ただ、ABCの時と同様、日の出から2時間位で雲に覆われた。
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ダウラギリ北東稜とツクチェピーク(Poon-Hill 5/9)
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5月 9日 Ghorepani ~ Hile(1,430m) (Poon-Hill 3,190m 往復)
10日 Hile ~ Lumule(1,610m) (Chandrakot経由)
11日 Lumule ~ Khapanti(900m)(Phewa湖畔)
12日 Khapanti ~ Pokhara Lake SideのHotel(漁船にて)
5月13日 ~16日: Pokhara-Kathmandu-成田
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タカリーのダルバート(Pokhara 5/13福本撮影)
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*1 Pokharaでは、国際山岳博物館の伏見さんご夫妻にご自宅への招待を受け久方ぶりの日本食の歓待を受けた。
*2 Kathmanduで一日余裕が出来たのでPatanを訪問。今回が3度目であったが初めて地元ガイドを雇い説明を受けた。