2、 火打山(鍋倉谷支流惣兵ェ落谷)
スキー技術:中級、体力レベル:中、標高差1100m、標準時間:登り4〜5時間、下り3〜4時間
火打山への夏道沿いに登山道入り口から黒沢に出合うまでシールで登る。道がわかりにくいので磁石で方向を確かめながら、時々出てくる赤テープを見落とさないように注意。
黒沢に掛かる橋からは@黒沢を沢沿いにつめるA夏道沿いに登るB橋の下流から黒沢の支流を富士見平へ上がる。の三つの行き方がある。@は雪が少ないと滝が出ていて通行できない。Aはスキーをすべて担ぐことになる。Bは途中までシールで行けるが、最後は急斜面をキックステップで登る。
富士見平からは黒沢岳の西をトラバースして行くと高谷池ヒュッテが見える。高谷池ヒュッテからは池を横切り、天狗の庭も横切って火打山の肩へまっすぐ斜登行で上がっていく。肩からは少し急斜面となり、ジグザグにシールで登ればすぐに頂上に着く。頂上には雪は無い。
下りはスキーを担いで影火打のコルのほうへ稜線を少し降りる。夏道が出ている。コルの手前で雪が出てくるとスキーを履き滑降開始。一旦影火打とのコルまで降りて、そこから真南へ滑り降りる。木がなくて斜面も広くて気持ちが良い。
標高850mまで滑ると右の惣兵ェ落谷へ滑り込む。U字谷となっていて滑りやすい。途中で右からデブリが出ているが左岸を巻ける。鍋倉谷へ合流するところは雪が少ないと渡渉となることもあるが、よく探せばスノーブリッヂがある。
合流地点からすぐに鍋倉谷の左岸の上の台地へ上がる。台地の上の林間を滑って行くと次第に傾斜が無くなり杉野沢橋からの林道の上へ出る。急斜面を少し下ると林道に出る。林道を辿って京大ヒュッテに戻る。
3、 乙妻山
スキー技術:中・上級、体力レベル:中・上、標高差1200m、標準時間:登り6時間、下り4時間
連休前または連休中に笹ヶ峰ダムまで除雪されるので、車を使ってダムまで行く。ダムに駐車しスキーと荷物を担いでダムを対岸へ渡る。対岸の階段を登ると立派なブナ林が広がっている。
スキーをつけて平らなブナ林を南東へ進む。小さな沢をいくつも越えて1357mのピークの北のコルを目指す。このコルの位置は間違えやすいので注意して地図を読む。コルへの登りでは雪がついていないときもある。
コルからは1357mのピークから東へ派生する尾根を回りこむようにトラバースする。このあたりもガスると間違いやすい。あまり東へ下りすぎると氷沢川のゴルジュ地帯となり行き詰る。うまく傾斜を取らずに尾根を右へ回りこんで南へ方向を変え氷沢川へ滑り降りると自然と林道に出る。
林道を氷沢川に沿って進むと道が二手に分かれる。右の上流に向かう道を上がる。ブナ林がとても綺麗な平原となっている。何本か沢を渡るので水を補給できる。林道からは遠くにこれから登る北東沢と乙妻山が見える。
林道を快調にスキーで進むと北東沢が全貌を見渡せるようになる。適当なところから林道をはずれ北東沢へ入る。大変広い沢なので入り口はどこでもかまわない。枝沢がいくつもあるのでうまくルートを見つけないと渡るのに苦労する。
次第に沢が急になるが沢幅は広く、木が少ないのでルートは自由に大きく取れる。シールで大きくジグザグを切って登る。横ずれ防止にクトーが有効だ。上部はとても急になるのでシールで登るのが怖くなる。失敗すると数十m滑り落ちる。危険ではないが、意気消沈してしまう。
時間と体力に自信がある場合は、このあたりから乙妻山と高妻山のコルに向かって上がって、コルから高妻山を往復してその後乙妻山に登ることも出来る。
乙妻山へ登る場合は北東沢を詰め、稜線直下のブッシュ帯が近づいたら、最後は右側の北北東へ派生している尾根へトラバースする。尾根を回りこんで乙妻山北斜面に出ると、頂上がすぐ上に見える。
慎重にシールを利かせて急斜面を登る。自信が無ければスキーは担いだ方が良い。頂上は丸い雪原となっていて遮るものが無く360度山々が見渡せる。雨飾山、焼山、火打山、妙高山、黒姫山、高妻山、戸隠山、北アルプス。
下りは頂上から滑り降りることが出来る。登ったルートと同じところを滑る。最初は急斜面で緊張する。一旦北斜面を滑り、少し降りたところからトラバースして尾根を越えて北東沢へ入る。北東沢も出だしは急で緊張する。しかし斜面が広く木がないので自由な大きなターンが出来る。気持ちの良い連続ターンをすると下から見上げると広大な雪面に綺麗なシュプールが描けている。なお、雪崩れやすいので新雪が残っている場合は注意すること。雪崩の通り道を避ける。
急斜面が終わるとかん木が出てくるが自由にルートを取って滑ることが出来る。傾斜がなくなってきたら沢の左前方へルートを取る。林道まで滑らずに左へトラバースしながら出来るだけ氷沢川の下流までスキーを滑らせて行く。
最後は林道へ滑り込み林道を来たルートどおりに辿る。二手に分かれるので左を取り、林道の途中から夏道のとおりに1297m地点を目指す。林道から台地までの登りはシールをつけずに担いでもわずかである。台地は広く迷いやすい。コンパスやGPSを使って1357mピークの北のコルを目指す。
コルからは下の台地へ滑り降り、標高を落とさずに左へトラバースしダムを目指す。ここも下り過ぎることがあるので、方向を定めて確かめながら滑る。ダムは最後まで見えないのでルート取りは注意が必要。
最後は坂をひと登りするとダムが見える。ダムまでの階段の横を滑り降りてスキーは終了。あとは車でヒュッテへ戻る。
4、 天狗原山、金山
スキー技術:上級、体力レベル:中・上、標高差1200m、標準時間:登り5〜6時間、下り5時間
ヒュッテから除雪された林道を黒沢橋まで行く。出来れば車で橋まで行けば時間短縮になる。通常は橋の対岸に駐車スペースがある。橋からスキーをつけて杉野沢橋まで滑る。雪の少ない年は林道を歩かされる。
杉野沢橋からは真川を右岸に沿って遡る。広い河原だが、滝沢との出会い手前で一箇所狭くなっていて高巻きさせられる(夏道の残置ロープあり)。
滝沢出合から夏道通りに急斜面をジグザグに登って上の台地へ行く。スキーは担ぐ。標高差約80m。台地からはシールをつけて1701mピークを目指して沢状になった所を登る。途中から急で狭くなるので、適当に右岸の尾根に上がる。しかし尾根も最後はスキーを担がないと登れなくなる。
1701mピークからは尾根が広く、傾斜も緩くなるのでシールで快適に登れる。このあたりからタンネ帯となる。右に今回滑る金山からの尾根を見ながら高度を稼げる。
標高2000mのコルからは天狗原山への最後の急斜面となる。尾根上は雪が途切れていてブッシュが出ているので、スキーを担いだほうが結局は楽に登れる。シールで登る場合は頂上からの急斜面を登るが滑落に注意する。
左の尾根から回り込みながら天狗原山に到着。頂上は緩やかで広い。金山までの縦走では一度気持ちの良い斜面を滑る。広い適度な傾斜の斜面で、ここは出来ればシールを外して滑りを楽しみたいところ。シールを再びつけて緩やかな斜面を金山へ登る。金山はどこが頂上かわかりにくいくらい広くて緩やか。ガスの場合は十分注意する。頂上はかなり奥にある。
下りは頂上からシールを外して滑り出す。緩やかな斜面を天狗原山とのコルまで滑って東へ派生する尾根を見つける。別れる付近は広い平原で方向を見失いやすいので注意。尾根に入りタンネを越えると、すぐに木がまったくない広い急斜面となっている。素晴らしい斜面で一気に200m滑ってしまう。1958mピークからは尾根ではなく斜面状になっている。ここも東の方向へ滑り降りるが、木がなくて適度な広大な斜面で山スキーの醍醐味が味わえるところだ。最後は右へ向かい金山谷に滑り込む。注意しないと低い尾根の北側にある裏金山谷へ滑り降りるので注意する。
金山谷に入って標高1470mまで滑り、滑降は一旦ここで終了。ここからシールをつけて1701mに突き上げている小さな沢を南へ詰め上がる。この沢の入り口の発見には注意。これより下流まで金山谷を滑り降りるとゴルジュとなり沢が割れている。
登り返しの沢は出合からすぐに左へ分かれる。左を取り進んでいくと次第に急になる。適当に左岸の斜面に上がり回りこむ。1701mピークまでシールで登れる。
1701mから再び滑降開始である。登ってきたルートではなく、左の斜面から滑り降りる。木が多い急斜面なので注意。途中から沢に入り、最後は台地に出て登りに使った夏道を探す。
スキーを担いで夏道を真川の河原まで下る。この斜面にカタクリが群生しているので運がよければ可憐な花が見られる。
河原に着いてからもしばらくスキーを担いで、行きに通った真川の高巻を越したところでスキーを着けるほうが良い。河原を杉野沢橋までスキーを滑らせて行く。橋からは雪があれば林道をシールは使わずにスキーを滑らせながら黒沢橋まで帰ることが出来る。滑り疲れたころに黒沢橋に着く。
5、 焼山
スキー技術:上級、体力レベル:上、標高差1350m、標準時間:登り6〜7時間、下り5〜6時間
ヒュッテから真川と滝沢との出合いを上がった台地までは天狗原山、金山の項に同じ。台地からほぼ夏道通りに真川の右岸斜面の緩やかなところを狙ってトラバースする。
台地からシールをつけて右方向へトラバース気味に登る。眼前の尾根を少し登ってから右へ回りこみ、トラバースに移る。急斜面でその下は真川のゴルジュなので滑落は許されず緊張するところ。
トラバースは金山谷が近づくと楽になる。最後は金山谷へ向かって斜滑降で滑り降りられる。真川本流はここからすごいゴルジュとなるので、金山谷を横切って対面の尾根に上がる。尾根の末端は雪が付いていなく細いので夏道と同じく真川の出合から少し金山谷を登った所から尾根に取り付く。
尾根の1454mピークから上は一転して広い斜面となっている。1454mピークあたりから真川へ向かって斜滑降で滑り降りる。このあたりはゴルジュが終わり河原となっている。ここから真川は穏やかになり、シールで右岸を自在に登ることが出来る。ルートが複雑なのはここで終わる。
裏金山谷、地獄谷を過ぎると二俣に分かれる。左俣を取り富士見峠方向を目指す。シールでジグザグを切りながら快調に高度が稼げる。振り返ると乙妻、高妻が正面に見える。富士見峠から100m上の焼山の肩に着く。肩からは急斜面となりシール登るのは苦しくなる。
最後は岩がガラガラの斜面となりスキーは担ぐ。頂上はドーム状となっているので、左から北側へ回り込む。岩と石の急斜面でとても歩きにくい夏道をしばらく行くと頂上に達する。焼山は南北とも日本離れした他に比類の無い素晴らしい斜面が続いている。
滑りは登りと反対側の東斜面を胴抜キレットへ向かう。頂上直下の雪田からエントリーできる。出だしからすぐに一段落ち込んでおり、キレットまで見通せず緊張する。ゆっくりと滑り出すと、急斜面の手前で大岩が出てくるが左右どちらからでも行ける。その大岩からはキレットまで無木立の広い急斜面が続く。目の前は火打山。広すぎでどこを滑るか迷うほどだ。大きなターンでスピードを上げて滑る。時々雪面が割れて段差になっているので注意する。
キレットからは南へ方向を変え、U字状となった沢を滑る。ここも木が全くなく自由自在に滑れる。スピード、ターンの大きさも思いのままである。かなり滑り疲れるので休みを適度に取るようにする。
裏金山谷近くなると傾斜も緩やかになり快適な滑降も終わる。金山谷手前で往路と同じルートで高巻を開始する。シールを付け台地まで斜登行で上がり、復路はこの緩やかな台地を60mほど登り、金山谷のゴルジュを越えたあたりから金山谷へ降りる。降りたところから対面の1701mピークへ上がっている沢を登る。これは天狗原山、金山のツアーで復路に金山谷から登る沢と同じ。
1701mピークからは天狗原山、金山の項に同じ。
以上