剣一周パノラマルート
2003年に行った剣岳の周りを南から半時計廻りに回り、様々な向きからの剣の写真を撮りながら滑降するパノラマルートを、今年は雪が多いので少し延ばしてみました。皆年齢とともに体力も衰え、ゆっくりとした山行にしました。
【山域】剣岳周辺
【場所】富山県
【日時】5月3日(水)〜 6日(土)
【メンバ】高尾、山森、木村(以上京大山岳部出身)、田中(大阪市大山岳部OB)
【コース】
3日:室堂〜一ノ越〜雄山〜御前谷〜中央山稜コル越え〜内蔵助平
4日:内蔵助平〜ハシゴ谷乗越〜剣沢〜二股〜平の池
○池の平山アッタク 大滑降
○仙人山アッタク 滑降
5日:平の池〜池の平小屋〜小黒部谷滑降〜大窓谷出合
その後2パーティーに分かれる
・木村、山森 〜大窓〜中仙人谷〜白萩川〜馬場島
・高尾、田中 〜小黒部谷滑降〜折尾谷〜ブナグラ乗越
6日:ブナグラ乗越〜猫又山〜猫又谷〜南又谷〜魚津
【装備】山スキー3名、テレマークスキー1名
5月3日 快晴
室堂9:20−一ノ越10:30−雄山12:00〜13:00−御前谷滑降−立山中央山稜コル14:30−内蔵助平15:00
人ごみの室堂から行列を作って雄山に登る。今年は残雪がたっぷりで、周りの山は4月初めのような光景であった。一ノ越からの雄山の登りはスキーを担ぎ、あえぎながらのゆっくりした歩みとなった。例年は夏道が完全に出ているが、雪と氷が沢山残っていた。雄山神社におまいりして、剣、大日、薬師、笠、黒部五郎、槍穂、針ノ木、赤沢西尾根、鹿島槍、白馬の大パノラマを満喫し、ゆっくり休憩した後、神社のすぐ直下から御前谷へ滑り込む。御前谷は広い斜面が黒部湖まで続いているが、シュプールが一本も見当たらない。最初は急斜面で狭いが雪質は申し分なく、快適にターンできる。どんどん滑り降りる。大きなターンでスピードを出す。とても気持ちが良い。周りはまるでヨーロッパアルプスに居るようだ。岸壁に囲まれたカールのようなところだ。左に見えてくる中央山稜のコルを目指し斜滑降と大きなギルランデを繰り返す。コルのすぐ下まで滑り、コルまでシールでひと登り。立山中央山稜を登攀するパーティーとすれ違う。コルを乗越し反対の内蔵助側に滑り降り、内蔵助谷もターンを繰り返し、傾斜が無くなり滑らなくなった所でテントを張った。無風快晴の中、自分たちだけのシュプールを見上げながら雪の上に車座になって飲むお酒は最高だった。
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雄山山頂
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御前谷
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5月4日 快晴
出発7:10−ハシゴ谷乗越8:00−剣沢二股8:45−平の池11:10〜12:10−池の平山14:00−平の池15:00〜15:15−仙人山16:00−平の池16:45
ハシゴ谷乗越までシールとクトーを使って登り、半分陽が当たった沢を剣沢まで滑り降りた。陽の当たらない部分は硬くクラストしており、滑りにくい。剣沢は大雪のため二股までほとんど割れていない。二股から三の窓を見上げると八ッ峰とチンネが素晴らしい。二股を小窓雪渓に入り平の池までシールで登るが、周りからのブロック雪崩れが怖い。平の池にテントを張ったが、ここは別天地である。八ッ峰の展望台で、良い写真が撮れた。景色を堪能した後、池の平山を往復した。標高差500m。池の平山の東面はスキーで滑るには素晴らしい斜面である。しかもシュプールは見当たらない。頂上は北方稜線、小窓尾根を登る人が良く見えた。チンネ、八ッ峰も真横に見え素晴らしい景色であった。展望を満喫し頂上から滑り降りる。途中急なところで重い雪が雪崩れたが、すぐに止まり特に問題は無かった。ほぼ均一な傾斜で広い斜面が続く。大きなパラレルですっ飛ばす。気持ちが良かった。あっという間にテントサイトに着き、一休みの後で仙人山へ向かった。仙人山では黒部側から登ってきた二人組とすれ違った。無木立の斜面にはシュプールは全く無かった。ここも良い滑りができた。テント地から二山のシュプールを眺めて皆で悦に入った。
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池の平山雪崩れ斜面
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池の平山から見たチンネ
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池の平山を滑る木村
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仙人山から見た池の平山
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仙人山の登り斜面から池の平山
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○山森 木村パーティーは
5月5日 晴れ
出発7:40−池の平小屋7:50−大窓谷出合8:30−大窓12:20〜40−西仙人谷出合13:40(デブリが谷を埋め、スキーを担いで歩く)−1980年ルーム遭難地点14:30−馬場島15:15 タクシーで富山へ
池の平小屋からの小黒部谷の滑りは広い急斜面で良さそうに見えたが、雪質が今一で滑りはさえなかった。大窓谷出合で別れた。出合から見上げると、大窓には大きな雪庇が張り出していた。
○高尾、田中パーティーは
5月5日 晴れ
出発7:40−池の平小屋7:50−大窓谷出合8:30−折尾谷出合手前高巻き開始11:30−折尾谷右岸台地(ブナ台地)12:08−ブナグラ乗越16:00
大窓谷出合から小黒部谷を下ったが、すぐにデブリが激しくなり、スキーはつまらなくなった。仕舞にはスキーを担いで歩く破目になり、時間を食った。折尾谷が近づくと谷が割れだして、崩壊寸前のスノーブリッヂを渡ったり、スキーを担いでの高巻き、へつりなどが連続した。折尾谷出合手前で沢が激しく割れて、ついに通行不能になりスキーを担いでの大高巻となった。左岸を70mほど上がると段丘となる。大きなブナが生えた平らな台地がありそこを伝って折尾谷へ入った。折尾谷を台地上から眺めると下流の出合付近の積雪は以前よりも少なかった。折尾谷をブナグラ乗越までシールでひたすら登る。少し風が吹いて暑さをやわらげてくれた。ブナグラ乗越で整地してツエルトを張った。夕方、局部的にガスが発生した。
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平の池からの朝のチンネ
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大窓
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デブリで埋まった白萩川(西仙人谷出合下流)
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1980年遭難地点下の谷.JPG
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大窓
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5月6日 晴れ
出発6:30−猫又山10:00−猫又谷下りだし12:00−南又谷標高500mスキー終了15:30 第二発電所まで徒歩。そこからタクシー
猫又山へは最初は夏道通しに行くが、急でスキーは担ぐ。しばらく登ると、尾根が広くなり傾斜も落ちるのでシールで登る。猫又山から見る剣も大変立派で剣尾根が良く見えた。猫又山から折尾谷側に素晴らしい斜面があり、スキーで滑って遊んだ。猫又谷の入り口に少し迷ったりもしたが、難なく滑り降りた。広い急斜面で気持ちよくターンできた。落石もほとんど無く思い切って飛ばせた。900m付近で沢が割れだしたので林道に上がって林道を滑り、標高500付近でスキーは終了。ふきのとうを摘みながらタクシーが入れる第二発電所まで歩いた。
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猫又山からの剣岳
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