焼岳雪上訓練
谷口朗
昨年阪本をリーダーとして、印度ラダックからザンスカールのトレッキングを行った(詳細は、松浦祥次郎氏がAACKホームページとAACK Newsletter に掲載)。帰国直後の昨年末、阪本から今秋のネパール・ロールワリン地方のラムドンゴ(5,925m)登山のアイデアが出され、一年に亘るトレーニング計画もその時点で決定した。その内雪上訓練は3月御岳、4月焼岳、5月立山である。
今回の焼岳のメンバーは阪本(L.60年入部)、福本(57年入部)、伊藤(59年入部)、田中(二)(59年入部)、岡部(元京都山岳会)、谷口(57年入部)のネパール登山組6人に加え佐藤(日本山岳会)が特別参加した。
2008年 4月12日(土):晴れ
7時30分坂巻温泉に集合。8時全員17kg前後のザックを持ち、釜トンを抜ける。下堀沢が正面に見える場所があり、今回の焼岳までのルートが一望される。大正池末端の橋を渡った所でワッパとアイゼンをつける(併用)。下堀沢南側の尾根に取り付くが、下部は傾斜が急でラッセルを交代しながら登る。11時30分1768mの少し下の樹林帯にテント設営CSとする。
12時過ぎハーネスを着けアイゼンでCSを出発。雪が腐り重い。尾根が広く迷い易い所なので赤テープを着けながら行く。2000m近辺の高天原と呼ばれる台地に2時30分到着。吹雪なら難しい場所だ。雪の状態と時間から、今日はここで引き返すことにリーダーが決定。小休止の後、まず弱層検査を行う。上から30cmの所に水分の多いザラメの層があり雪柱はその部分から容易に折れる。斜面には小規模のデブリも出ており要注意だ。少し戻り急な斜面でフィクス・ロープを張り、ユマール登攀、エイト環又はATC使用の懸垂下降の訓練をする。前月の御岳で十分練習したので全員スムーズ。4時30分CS帰着。明日の好天は昼までとみて早めに就寝する。
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新釜トン
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下堀沢から焼岳を望む 12日
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焼岳北峰を背景に
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下掘沢をはさんで焼岳南峰(左)と北峰(右)
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ハーネスを着けて 12日
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赤旗を着ける 12日
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弱層テスト
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ユマール登攀 12日
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2008年 4月13日(日):晴れのち雨
3時起床。昨日と同じ装備で5時20分出発。アイゼンが快調に利き、昨日の半分の時間で高天原着。ここから南峰南尾根に取り付く。途中傾斜の強い所を選び、2ヶ所フィックス・ロープでの登攀訓練を行う。尾根通しに登り2300mあたりのコルへ出る。ここからは西へトラバース。雪が良く締まっており足首が痛くなる。県境ラインの西尾根に乗り9時30分南峰頂上に到着。南に乗鞍、東に霞沢、北は岳沢を正面に西穂・奥穂・前穂・明神が並ぶ。360度の景観を満喫し思わず全員と握手する。小休止のあと南尾根をコルまで真直ぐ下る。途中2ヶ所フィックス・ロープを張り、両腕がらみの下降訓練を行う。この辺りから雪が腐りだしゴジラ落としに難渋する。下堀沢左俣上部には底雪崩の前兆を思わす亀裂が走っており、見極めながら慎重に下る。12時20分CS帰着。雨も降り出したので急いで撤収。いつもながらロープを設置し指導をしてくれる阪本、岡部両氏に感謝しながら、坂巻温泉で一風呂浴び4時30分解散した。
訓練も予定通りこなし、登頂で昔懐かしい山々を眺められたことなど2日間充実した楽しい山行であった。
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いざ出発13日
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焼岳南峰を見ながら 13日
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穂高連峰をバックに
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焼岳南峰
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南尾根での登攀訓練 13日
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南峰頂上 13日9時30分
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南峰から北峰を望む 13日
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両腕がらみの下降訓練 13日
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下堀沢左股上部の底雪崩前兆 13日
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大正池末端 訓練終わり 13日
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