Kyoto University Bhutan Mission 2015

京都大学ブータン遠征隊2015

日程:2015年9月10日~2015年10月6日

メンバー:京都大学山岳部(KUAC)および京都大学学士山岳会(AACK)会員
  -六車 光貴
  -原 宏輔
  -川口 康平
  -青木 俊輔
  -秋本 克規
  -酒井 英人
  -山下 耕
  -外園喜大
  -荻原宏章
  -河合清定


9月10日より、京都大学山岳部(KUAC)および京都大学学士山岳会(AACK)の会員で構成された 京都大学ブータン遠征隊2015がブータンに派遣されました。 山麓を経巡る"雪男トレッキング"を行い、10月6日に無事帰国いたしました。
-09/10夜: 関西空港より日本出国
-09/11: パロ着 ローメンツアーのカルチュン社長が出迎えてくれる
-09/12: パロ -> ドチュ・ラ ->プナカ
-09/13: プナカ -> ガサ
-09/14: トレッキング開始。 ガサ -> バリ・ラ -> チェンプサ
-09/15: チェンプサ -> コイナ -> タクシマカン
-09/16: タクシマカン -> ニュリタン -> ジョンプーナ
-09/17: ジョンプーナ
-09/18: ジョンプーナ -> ニュリタン -> タクシマカン -> ラヤ
-09/19: サポートメンバーは下山。ラヤ
-09/20: ラヤ -> リミタン -> フォウディンギ
-09/21: フォウディンギ
-09/22: フォウディンギ -> シンチェ・ラ -> ロブルタン -> ツェリジャタン
-09/23: ツェリジャタン -> ヤレ・ラ -> シャムタン -> シャキャパサン
-09/24: シャキャパサン -> ゴンブ・ラ -> チェビサ
-09/25: チェビサ -> リンシ
-09/26: リンシ -> ニレ・ラ -> ジャンゴタン
-09/27: ジャンゴタン -> ツォプ -> ジャンゴタン
-09/28: ジャンゴタン -> トンゴサンバ
-09/29: トンゴサンバ -> ザンキパン / トレッキング終了。
-09/30: ザンキパン -> パロ
-10/01: パロ -> ティンプー
-10/02: ティンプー
-10/03: ティンプー -> パロ
-10/04: パロ
-10/05: パロ空港から出国 -> バンコク
-10/06: -> 関西国際空港着










30年前の1985年KUACマサコン峰遠征隊を振り返るとともに 2015年KUACブータン・トレッキング隊の報告を聞く会


今年は、マサコン峰登頂から30年になります。また本年は、京大山岳部現役と若手OBが9月11日からブータンに行き、ガサからマサコン隊のBCを往復し、ラヤからパロまでの高原地帯をトレッキングする計画があります。われわれの行程を、30年たって現役諸君がトレースしてくれることは、本当に嬉しいことと思います。この隊は10月6日に帰国しますので、これらの隊員を招いて交流を深めたと思います。ご多忙とは思いますが、ぜひこの機会にお集まりくださるよう、ご案内いたします。

発起人:栗田靖之、横山宏太郎、松林公蔵、伊藤宏範、竹田晋也

日時:2015年10月10日(土)
場所:京大東南研・稲盛会館3階・会議室

次第:
受付開始 16:00 (受付:松林,竹田,六車)
報告会 16:30~18:00 (司会:伊藤)
開会の挨拶(堀先生)
京大とブータンの歴史(栗田)
1985年マサコン峰の登攀(月原)
2015年トレッキング報告(六車)
閉会の挨拶(幸島山岳部長)
懇親会 18:00~20:00
参加費:社会人:7千円
院生 :3千円
学生 :2千円

準備の都合上,報告会あるいは懇親会へご出席の方は,当日までに、竹田氏へご都合を連絡ください。

|氏名
|報告会(出席・欠席)
|懇親会(出席・欠席)

竹田晋也・連絡先
メール:takeda[at]asafas.kyoto-u.ac.jp,
電話:075-753-7836
FAX:075-753-783

9月24日に無事帰国したサポートメンバーの河合清定氏より、帰国報告(速報版)が届いたので掲載いたします。

帰国報告 (河合清定)


ヒマラヤを訪れたのは初めてで,見る物や景色が全て新しく新鮮でした.

特に感化されたのが,日本とブータンの自然と文化景観の共通性です.自然景観ですが,今回,およそ1500mの標高傾度に渡り,ガサの雲霧林から,針葉樹林帯,森林限界を越えたジョン・プーナの高地草原まで,植生のダイナミックな変化を実際に体感しました.観察される樹木の葉や材の形態・構造的変化を追っていくだけで,植物の高所環境への適応メカニズムが考察できるような素晴らしい機会でした.また,トレッキング中に見られた植物は,ほとんどが日本の知識に基づき,属レベルまで同定可能であり,日本の植生との強い類似性に感嘆しました.森林限界上においては,ヤクや馬の放牧が広く見られ,対岸の放牧がなされていない斜面と比較することで,人為攪乱が草原や森林の構造や多様性に与える影響が甚大であることが理解されました.文化に関しては,都市部では近代化の影響もあるものの,農村部では,木造の建築物が多いこと,棚田を利用した水田稲作を中心とした農業体系であること,など景観レベルで日本の農村部との類似性が見られました.これらは全て中尾先生が提唱された「照葉樹林文化」を彷彿とさせるような光景でした.

大人数での遠征に関しても,初めての機会で学ぶべきものが多数ありました.普段の山行とは異なり,長期にわたるため,個人レベルでの体調管理はもとより,ガイドを含めた活発なコミュニケーションにより,リーダーシップとパーティシップを確立するとともに,円滑に維持していくことが重要になってくることが推察されました.後半には参加していませんが,日数が立てば,慣れない環境で疲労は蓄積し,パーティ内やガイドとの齟齬は拡大し,普段なら起こらないミスや軋轢も生じるだろうと考えられます.その意味でも,いかに想定外のことを想定できるか,そしてそれに対し,予兆を読み取りいかに対処するか,というリーダー層側の感受性や想像力も,遠征の重要な要素だと考えました.最後に,モーニングティからはじまるガイドのサービスは,快適の一言に尽き,余裕を持ってトレッキングに集中することができました.

このような貴重な学びと実践の機会を与えて下さった先生方,ならびに今回のトレッキングメンバーとローメンツアーに深く感謝いたします.